「13-9=4」の問題をまじめに考えてみた

ついったーでこんなツイートが流れてきた。

 画像にはこうある。

 1年生の「くりさがりのあるひきざん」の授業で、次のように説明した児童がいます。児童がどう考えたか、説明しましょう。
13-9=4
13から3ひいて10になったほうから2ひいて5。
そして5になったほうから4ひく。
こたえは4

お前は何を言っているんだ。(画像省略)

となった人は多いだろう。俺も初見ではそうなった。まぁそんなことを言ってても始まらないので何かヒントは無いかとよく読んでみると、10や5を作っていることに気付いた。このことから手を使って計算しているという可能性が高いと考えられる。俺も手を使って計算していた時期があったのでその頃の記憶を掘り起こしながら、この子が何を考えてこう説明したのかを考えてみる。

 おそらくこう考えたのではないだろうか?

仮説

まず、13はキリが悪いので、13から3ひいて左手で10を作る。
この時、13からひいた数を忘れないように右手で3を作る。(左手10、右手3)
今度は右手をキリのいい5にするために、10になった左手のほうから2ひいて、右手は5。(左手10→8、右手3→5)
そして、最終的に9ひかないといけないということは、5になった右手のほうを9にする必要があるので左手から4ひく。(左手8→4、右手5→9)
これで13から9をひくことができたので左手を見て、こたえは4。

どうだろう?太文字だけ読めば「13から3をひいて10になったほうから2ひいて5。そして5になったほうから4ひく。こたえは4」一応筋は通っている気がする。

まず手を使って計算したであろうことは間違いないだろう。引っかかる部分があるとすれば「5になったほうから4ひく」のあたりだろうか。上の説明だとちょっと強引じゃないかと思われるかも知れないが、小学一年生ではまだ「負の数」は習っていない。その為「引いてきた数」を増やす場合に言葉をどう扱っていいのかわからず「5になったほうから4ひく」と説明したとしてもおかしくはない。

では、何故この子はこのように計算したのだろうか?

経緯を考えてみる

手を使って計算をしていることから暗算が苦手なんだろうということが想像できる。暗算が苦手ということは途中の計算の答えを頭の中で保持することも苦手で、「計算Aを行い、計算Bを行い、計算Aの答えと計算Bの答えを足す」という計算を脳内でやることが苦手だ。

もしかしたら授業中に先生はコツを教えたのかもしれない。
「まずはわかりやすいようにキリの良い数字にしましょう」
黒板では 22 や 15 といった数字が 20+2 や 10+5 という形に分解されて説明されていた。いわゆる減加法と呼ばれるやつだ。なるほどと思ったこの子は、まずは13を10と3に分解するところから始める。しかし暗算が苦手なこの子は13-3から9-3を引いこうとすると混乱してしまう。混乱しないように計算するには途中の答えも含めて極力手の中で完結しなければならない。並列に計算せずに直列に計算しいかなければなければならない。
結局素直なこの子は先生の言う通り10と3に分解し両手のメモリを使ってしまった。そして「ここからどうやって計算するか」を考えた結果「3を段々と9に近付ければいいんだ!」という方法に辿り着いたのではないだろうか。
10から3を引いた後、6を引かずに2を引いた理由も5というキリの良い数字に合わせるためだったのかもしれない。もちろん単純に6以上の数字の足し引きが苦手という可能性もある。手を使った計算においては5から6も一つの繰り上がりといえるからだ。

これらの事を踏まえると「左右の手の間で5以下の数字が行ったり来たりするだけで計算が出来るこのやり方に辿り着いたのではないだろうか」というのが俺の考えだ。

最後に

ちなみに、俺も暗算は苦手だ。買い物の時のおつり等、日常生活では一応問題なく過ごしているが、3桁以上の足し算引き算で簡単に数秒フリーズする。下手すると二桁でも・・・。さすがに今回の様に5以下の足し引きじゃないとダメってことはないが、とにかく数字を覚えておくことが苦手なのは確かだ。(計算できないわけではない)

仕事ではウェブサービスの運営(開発)している。毎日何万人ものユーザーが使用しているサービスともなると、言葉の足りないお問い合わせに出会う事がよくある。その少ない情報から「何を言いたいのか」「どんな状態にあるのか」「問い合わせ内容ではこう捉えられるが、実はこういうことを言いたかったんじゃないか」等を幅広く想像し、あり得る可能性が高い事から検討していく。そしてどこが問題でどこを直せばよいかを考える。
少ない言葉から何が起きているのかを想像する今回のこの問題は、そんな仕事によく似ている気がした。

もちろん今回想像した事は完全に的外れで、別の方法で計算している可能性も大いにあり得るが「どう考えたのか」「どういう経緯でその考えに至ったのか」を想像するのはとても楽しかった。