禁煙した話
約10年吸っていた*1タバコをやめた。
去年の2月の上旬から禁煙を開始して1年以上が経ったので、ひとまず「禁煙成功している」と言っていい気がする。実際やめてみた感想は「思ったより楽勝だった」。吸いたいと思うことも無かったし、もう喫煙者に戻ることもないだろう。禁煙は何度も試みて毎回失敗していた俺がどうやってやめることができたのか。それをまとめてみようと思う。
※医学的根拠などはないので参考程度にどうぞ
3つのポイント
書き始めたら割りと長い文章になってしまったので、個人的に重要だと思うポイントを最初にあげておく。
「思い込みが大事」
「禁煙のモチベーションを上げるより、喫煙のモチベーションを下げる」
「気軽に始める」
この3つ。
今まで失敗した試み
本数を減らしてみるとか色々あがいたやつ
- 部屋を禁煙にして台所で吸うようにした
→ 生活の中心が台所に移っただけ - 喫煙所が遠くなった
→ 1回に吸う量が増えただけ - 喫煙所が外になった
→ 寒いのと暑いのを我慢しただけ - タバコにかかった金額を計算してみた
→ 結構使ったなーって思っただけ - 軽いものにしてみた
→ 軽くなっただけ - 本数を徐々に減らしてみた
→ 数日減っただけ - タバコを捨ててみた
→ 新しく買っただけ - タバコを吸ったら貯金
→ 続かなかった - 禁煙宣言してみた
→ 数日で戻ってきただけ - 友達と同時にやめてみた
→ 同時に復活しただけ - 禁煙パイプを買ってみた
→ すぐに戻っただけ - 代わりにチョコを食べる
→ チョコが美味しかっただけ
病院に行く以外は大体やってみたと思うが、これらではやめるにいたらなかった。
改めてまとめてみて俺の意志が非常に弱いのがよくわかった。
禁煙を始めた理由
特にない。今までは何かしらの理由があったが今回は特に無かった。何となくやめてみようかなと思っただけだった。なのでその日に思ってその日にやめた。その特に理由の無い中から無理矢理きっかけを探すとしたら「タバコのストックがちょうど無くなった」のがきっかけだろうか。
禁煙開始時に意識したこと
上の失敗した試みを見ても分かる通りのとても柔らかーい意志を持った俺が、今回は意識したことが一つだけあった。それは「タバコを買うのが面倒くさい」と思い込むことだった。
タスポは持ってなかったが、家の近くにも職場の近くにもタバコが売っているコンビニやタバコ屋さんはあったし、別に面倒ではないのに「面倒だ」と強く思うようにした。上の失敗した試みと同じ流れであれば「もらいタバコが増えただけ」や「面倒くさいと思わなくなっただけ」になりそうだと思ったが、(もらいタバコはしない人だったのもあるかもしれないが)意外な事にその通りにはならなかった。
多分依存しているものを断つには、利益や楽しさで依存を断つ事に対するモチベーションを上げる事よりも、嫌いや面倒などのネガティブな感情で依存しているものへのモチベーションを下げるほうが有効なのだと思う。楽しさは飽きがきたら終わりだが、面倒は面倒なままなので現状を維持するのに努力はいらなかった。
強いて努力をした部分を挙げるとすれば、次に挙げる努力とは到底言えない程度のちょっとした工夫が二つあるくらいだ。
習慣への対処
これは禁煙で通らなければいけない1つ目の関門だ。
タバコを吸うタイミングは人それぞれだと思うが大体がルーチン化されている。その節目節目でフラグを立てる役割をタバコが担当していたりするが、急にその行動がなくなると脳が混乱する。「あれ?今ご飯食べ終わったよな?」のような感覚に陥ることが何度もあった。
そんな時どう対処するかだが、俺がやってみた行動は「とりあえず喫煙所に行ってみる」だった。
俺より少し前に禁煙を始めた人が、喫煙所でコーヒーやお茶を飲んでいるのを見かけたことがあった。それを真似したのだが、意外とそれだけで混乱する感覚はなくなった。お茶やコーヒーなどを飲みながら、喫煙所でよくいるメンバーと話をしているだけ。あとは2週間ほどかけて喫煙所に行く回数を減らしていく。というか勝手に0になった。「タバコを買うのが面倒くさい」はいつの間にか喫煙所に行くことにも反映されていったからだった。
誘惑への対処
禁煙で通らなければいけない2つ目の関門がこれだ。
タバコをやめたことを聞くとタバコを勧めてくれる優しい人が必ずいる。しかし、勧められて辛いのは最初の1、2週間くらいだと思う。その人の性格にもよると思うが大体2週間も同じことを言ったりはしないのと、1、2週間もすればある程度吸わないことに慣れてくるからだ。
その優しい人をどう対処するかだが、俺は禁煙を始めたことを伝えると同時に仮病を使った。
「すみません。今風邪ひいてて…」
とマスクしていれば無理して勧めてくる人はいない。
禁煙してみて
- よく「禁煙したらご飯が美味しくなって太った」という話を聞いていたが、そんなことはなかった。元々美味しかったし。甘いものが増えたなんてことも無かった。
- 匂いに対して敏感になった。鼻は元々敏感なほうだったが、より敏感になったと思う。
- 寝れないことが減った。寝つきが良くなった。結果的に睡眠時間が増えたと思う。前からロングスリーパーだったが余計に寝られるようになった。睡眠時間が長くなったのは結構困る。今も眠い。
- 頭痛が減った。飲み会のあとで頭痛が酷いなんてことがよくあったが、気のせいかもしれないけど減った気がする。
- 禁煙を始めて3ヶ月目くらいにタバコを吸う夢を見た。ほんとに見るんだ!ってちょっと笑った。
- 会話に困ったときにタバコを吸ってお茶を濁すってことができなくなった。
- 喫煙所でよく話していたメンバーと話すことが少し減った。
- お店を選ぶ条件に「喫煙可」がなくなったことで、お店選びが楽になった。
他にもあるかもしれないが、今思いつくのはこんな感じ。
最後に
喫煙者なら分かると思うが、喫煙者は基本的に風邪を引いていてもタバコを吸う。勿論風邪を引いて体調が悪いので美味しくもないし、肺にいれるからむせたりもする。そんな状態でもタバコをやめられない喫煙者に「体に悪いから」という理由を突きつけてもタバコをやめるわけがない。俺もその中の一人だった。
心理学を学んだことは無いが、人は止まっている岩のように何もしないでいることが自然なんだろう。だからそれを動かすのには「たくさんの理由」と「たくさんの労力」で頑張らないといけない。だから今までの禁煙は失敗してきたんだろう。なぜなら現状を維持することは楽だし、そもそも依存する程の重さのものを「頑張って禁煙」しようと動かそうとしていた。相当な力で押さないと動くはずがない。
しかし、今依存で動いているものを「面倒くさいから動かなくていいや」と発想を変えることで、楽にやめることができた。思い込みやこじ付けでしかないが、コレが思いのほか効果的だった。
よく考えればプログラムを始めたのも同じだった。面倒くさいから楽したい結果プログラムを書いたのが始まりだった。人間にとって、少なくとも俺にとっては「面倒くさい」は相当な重さを持った感情なんだと思う。
「でも仕事のストレスで吸いたくなる…。」
俺もそう思ったことがある。ちょうど禁煙を始めたあたりのタイミングで仕事が忙しくなった。しかし、そういう若干病んでいる時ほど「面倒くさい」という感情は大きく作用する気がした。「イライラする!」→「何もかもが面倒くさい!」→「できるだけ何もしたくない!」→「タバコ買いに行くのめんどくさい!」と負のループが回るようにストレスを逆に何もしないことへの重石に変えることができた。
禁煙には、高尚な理由も、揺ぎ無い意志も、完璧な計画もいらない。むしろそういうのはプレッシャーになるだけ。気軽に始めればいいと思う。俺は気楽に始めていつの間にか1年が経った。今ちょうどタバコのストックが切れたのなら、気軽に始めてみるチャンスかもしれない。
*1:※依存度は1日1~2箱程。飲み会や麻雀のときは増える。フカシではなくしっかり吸うタイプ。割とチェインスモーカー。